保育士資格取得前に知りたい児童家庭福祉の施設

利用児童の多様化

児童福祉法が制定された当初は、単純な養護性、知的障害、盲、ろうあ、情緒障害というように
それぞれの施設の対象と考えられ、それぞれの施設を利用する児童が多かったのですが、
現在はこのような対象者は少なくなり、
問題は重複していたり、重度化している児童が増えています。

 

また、入所している対象児童の年齢を見てみると、
近年は乳幼児は少なくなっていて、中高生が多くなり、
施設の種類によっては、18歳以上の過齢者も多くなっています。

 

児童養護施設などの入所児童の抱える愛着障害や発達障害、ADHD、LDなどの問題の複雑さ、
対応の難しさなどがいわれ、そのような入所児童に対応するための
より質の高い専門的処遇である心理的援助、また、社会的援助が求められています。

 

また、児童養護施設退所児童への就労や社会生活に関するアフターケアの問題についても、
施設全体で考えていくことが必要になってきます。

 

 ・愛着障害: 乳幼児期や児童早期に、虐待やネグレクトを受けたことにより、
       保護者との安定した愛着関係を結べなかったことで起こる障害の総称です。

 

 ・ADHD: ADHD(Attention-deficit / hyperactivity disorder注意欠如・多動性障害)は、
   年齢や発達に不釣合いなほど集中力が続かなかったり、気が散りやすかったり、
   忘れっぽい、また、じっとしていることが苦手な多動性や、
   思いついた行動について、行っても良いかどうか考える前に実行してしまう衝動性
   などを特徴とする発達障害のことです。

 

 ・LD: LDは、知的には普通ですが、言語障害や読み、書き、算数などの障害を特徴とします。

今後の児童福祉施設の課題

現在、児童福祉施設入所は、虐待などの利用計画になじまない場合については
行政機関の措置で行われます。

 

ですが、利用者の意思が軽んじられているという批判があることもあり、
また、親からの虐待で入所しているにもかかわらず、
子どもを無理やり連れ帰るというような無理解な親もいることから、
児童の福祉を十分に守ることができないという問題点もあります。

 

現時点での施設の状況は、親や子ども自身の選択幅はとても狭いのですが、
今後は、各施設が対象者に合わせた多種多様なメニューを用意するなどし、
その情報を提供し利用者である親や子どもが自分自身で選択をするというような
新しい利用契約型の児童福祉施設の導入が必要だと考えられます。

 

すると、施設は利用者に選ばれることになるため、
今まで以上のより質の高いサービスやケアを行うことが求められます。

 

同時に、子どもの人権を守り、子どもの心身の成長発達、
将来を見通した援助やケアを行っていくことが重要です。

 

現代の日本は、核家族化が進んでいます。

 

そして、家族構成員が減り、家族機能も縮小化し、
女性の就労は増加し、共働きの家庭は増えています。

 

さらに、少子化、ひとり親家族が増えるなど、ライフスタイルは多様化しています。

 

離婚が増え、子連れ再婚、未婚の母親、同棲など子どもが育つのには
複雑な難しい家庭環境が増えているという現状があります。

 

本来であれば、子どもは家族関係や親族関係、近隣関係というような
安全で愛情に満ちた環境の中で育てられるべきでしょう。

 

少なくとも古きよき時代はそうでした。

 

母親から娘へ、娘から孫へというように世代間での育児技術の伝承がありました。

 

しかし、近年は、核家族となり、少子化と子どもの人権意識が高まっていますが、
支えのない子育て中の母親や父親に対する期待や要求も同時に高くなっています。

 

ですが、現代の母親や父親は、今まで子育てをしたことがなく、
小さい兄弟の面倒も見たことがないという人が殆どで、
「しつけ」のノウハウも知らずに母親となり、父親になったという人が殆どです。

 

そのようなことから、
子どもを育てるための関わりについて「折檻」などの力による解決法しか知らず、
子育てが虐待となってしまうことも少なくありません。

 

育児に疲れた親が、一時的に子どもを預けられる施設、
育児相談に乗ってもらうことができる場、
子育てのノウハウを教えてもらうことができる場など、
親を社会で育てていく環境つくりが必要とされています。

 

地域の福祉ニーズを広く把握し、
必要なサービスを総合的に提供するのが、児童福祉施設の大きな役割でもあります。

 

不登校、学級崩壊、性非行、キレる子ども、ひきこもりなど、
次代を担う子ども達の心の育ちは、大きな問題となっています。

 

子育ての専門機関である児童福祉施設には、
地域に開かれた子育て支援活動を行うことが求められます。

 

そして、地域の子育て支援の中心としての役割、そして機能が求められます。