保育士資格取得前に知りたい児童家庭福祉の施設

児童福祉施設の種類

児童福祉法は2010年に一部改正があり、
障害児施設は従来の入所による支援を行う施設は「障害児入所施設」、
通所による支援を行う施設は「児童発達支援センター」としてそれぞれ一元化されました。

 

また、各施設とも医療の提供があるかないかによって、
ある→医療型、ない→福祉型のどちらかに再編されています。

 

 *助産施設

 

  助産施設は、児童福祉法第36条によって、以下のように規定されています。

 

  「保健上必要があるにも関わらず、経済的理由により、
  入院助産を受けることが出来ない妊産婦を入所させて、
  助産をうけさせることを目的とする施設」

 

  そして、医療法に基づく産婦人科のある病院(第1種)、
 助産所(第2種)が指定されています。

 

  助産施設が児童福祉施設に規定されているのは、
 乳幼児の福祉が妊産婦保護を必要とするためです。

 

  乳幼児の福祉を考えるとき、
 胎生期から母親との人間的絆が見られるということが、
 近年解明されています。

 

  ですから、妊娠中の母親の心身の安定を図ることはとても重要ですから、
 妊娠中から社会的支援を行っていくことも必要であると考えられています。

 

  助産施設の対象は、自宅出産で不適切な住宅だったり、
 異常出産の可能性があるため一般の産科病院などに入院して
 出産することが必要であるにも関わらず、
 そのための費用を自分で負担することができない者となっています。

 

 *乳児院

 

  乳児院は、児童福祉法第37条によって指定されています。

 

  乳児院は、概ね2歳未満の乳幼児を入所させ、この乳幼児を養育する事を
 目的としていました。

 

  しかし、2004年の児童福祉法の改正により、
 安定した生活環境の確保等の理由によって、
 特に必要がある場合は、乳児院に幼児を入所させる事ができるとされています。

 

  特に乳幼児期は健康管理に留意しながら
 心身の健全な発育を促す事が大切です。

 

  乳児院に一時的に短期入所できる場合とは、
 保護者の病気や看護等の緊急の事情、
 保護者の出張等勤務上の都合等によって、乳幼児を養育することができない場合です。

 

  また、乳児院の役割には、退所した場合も、相談やさまざまな援助を行い、
 子育てができない親に対し、親と共に子育てをしながら親育てをすることもあります。

 

 *母子生活支援施設

 

  母子生活支援施設は、児童福祉法第38条によって定められています。

 

  児童福祉法第38条には、「配偶者のいない女子またはこれに準ずる事情にある女子
 及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、
 これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、
 あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」
 と、規定されています。

 

  つまり、精神的な理由や経済的な理由により、
 母子家庭として生活が不安定なため、
 児童の心身に好ましくない影響を与えることが心配される人が
 入所対象となっています。

 

  母子生活支援施設の機能として主なものは、
 養育支援サービス、集団生活の基本機能、DV(ドメスティックバイオレンス/
 配偶者等から受ける身体的、精神的、性的な暴力)などからの緊急一時保護機能、
 地域に対する子育て支援機能などが挙げられます。

 

  近年は、特に、DVから母子を守る社会資源として、
 母子生活支援施設の役割が期待されています。

 

  DVから母子を守るとは、シェルター的な機能や、DV被害者や児童の心理的ケアなどがあります。

 

  母子生活支援施設の入所者のほとんどは、生活が不安定なので、
 住居の提供だけではなく生活指導や保育サービス、
 その他自立支援のための生活支援を受けています。

 

 *児童厚生施設

 

  児童厚生施設は、児童福祉法第40条によって定められています。

 

  児童福祉法第40条には、「児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、
 その健康を増進し、または情操をゆたかにすることを目的とする施設。」とあります。

 

  そして、屋内→児童館、屋外→児童遊園に別れます。

 

  児童館も児童遊園も、一般児童の健全育成のための施設で、
 児童館の中でも体育施設を備えた施設は、児童センターと呼ばれます。

 

  児童センターでは、母親クラブ活動や、健全育成相談など
 子育て支援活動が行われています。

 

 *保育所

 

  保育所は、児童福祉法第39条によって定められています。

 

  児童福祉法第39条には、「日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児または幼児を
 保育する事を目的とする施設」と定められています。

 

  そして、「前項の規定に関わらず、特に必要があるときは、日々保護者の委託を受けて、
 保育に欠けるその他の児童を保育することができる。」とされています。

 

  保育所では、基本的には保護者が養育し、
 一日のうちの一定時間だけ預かって、家庭の養育機能を補います。

 

  しかし、深夜勤務が多い場合や、勤務形態が不規則な保護者の場合、
 現在の保育所では対応できないという場合などに、
 やむなく乳児院などに入所させている場合もあります。

 

 *児童養護施設

 

  児童養護施設は、児童福祉法第41条で定められています。

 

  児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童
 その他環境上養護を要する児童を入所させ、児童を養護することを
 目的としています。

 

  同時に、退所した児童やその親に対しても、
 相談や自立のための援助を行うことも児童養護施設の役割となっています。

 

  近年は、被虐待時や過年児の入所も多くなっています。

 

  児童養護施設での保護対象は、以前は、2歳以上とされていました。

 

  しかし、2004年の児童福祉法改正により、
 安定した生活環境を考慮したときは、
 1歳からでも入所できるようになっています。

 

  児童養護施設では、日常生活の場が提供され、生活指導が提供されます。

 

  また、必要な場合は、職業に就くための自立支援、
 退所児童のアフターケアなども行われます。

 

 *障害児入所施設

 

  障害児入所施設は、児童福祉法第42条によって定められています。

 

  障害児入所施設は、以下の施設などが一元化されたものです。

 

   ・知的障害児を入所させる「知的障害児施設」、
   「第1種自閉症者施設」、「第2種自閉症施設」、盲児を入所させる「育児施設」、
   ・ろうあ児を入所させる「ろうあ児施設」
   ・肢体不自由児を入所させる「肢体不自由児施設」、「肢体不自由児養護施設」、
   ・重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童を入所させる
   「重症心身障害施設」

 

  そして、障害児入所施設は、以下の二つに分けられます。

 

  福祉型障害児入所施設: 障害児を入所させ、保護、日常生活の指導及び独立自活に
             必要な知識技能を附与することを目的とする。

 

  医療型障害児入所施設: 保護、日常生活の指導、独立自活に必要な知識技能の附与、
             そして治療を行うことを目的とする。

 

 *情緒障害児短期治療施設

 

  情緒障害児短期治療施設は、児童法第43条の2で定められています。

 

  情緒障害児短期治療施設とは、「軽度の情緒障害を有する児童を、
 短期間入所させ、または保護者の下から通わせ、その情緒障害を治し、
 あわせて退所した者について相談、そのほかの援助を目的とする施設」とされています。

 

  軽度の情緒障害とは、家庭や学校などでの人間関係が原因で、
 感情や行動のコントロールができず、社会適応が難しくなり、
 不登校や緘黙(カンモク:学校教育法で情緒障害の一つとされているもので、
 何らかの心理的要因により、一時期にあらゆる場面、或いは特定の場面で言葉を発しない状態)
 などの非社会的問題を持つ児童や、乱暴、盗みなどの反社会的問題行動、
 爪かみや夜尿、拒食などの神経症的習癖などがあり、
 このような症状のために、家庭生活が困難な児童が
 情緒障害児短期治療施設の入所対象になっています。

 

  また、情緒障害児短期治療施設では、入所児童に対し、
 カウンセラーによる心理療法や生活指導、
 家族を対象として、相談指導や、カウンセリング等も行われています。

 

  12歳未満の児童が主な対象者でしたが、
 重度で長期に渡る子どもも少なくないことから、
 1997年の児童福祉法改正により、年齢要件は撤廃されました。

 

 *児童自立支援施設

 

  児童自立支援施設は、児童福祉法第44条によって定められています。

 

  そして、児童福祉法第44条には、児童自立支援施設とは、以下のように規定されています。

 

  「不良行為をなし、又はなすオレのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により
 生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、
 個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、
 あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」

 

児童自立支援施設は、以前は、非行行為があったり、
 非行行為を起こす恐れのある子どもを入院させ、
 教護する教護院としての施設の役割がありましたが、
 1997年の児童福祉法改正によって、対象が、
 家庭環境やその他の環境上の理由により指導を必要とする児童に前で広げられ、
 入所だけでなく通所による指導も行い、児童の自立を支援する事になっています。

 

  また、「非行」という問題の根底には、
 「虐待」が多く関わっているということも明らかになっているため、
 心理療法のような、より専門的な治療も行われることが必要になっています。

 

 *児童家庭支援センター

 

  児童家庭支援センターは、1997年児童福祉法改正時に新設されたもので、
 児童福祉法第44の2で、以下のように定められています。

 

  「地域の児童の福祉に関する各般の問題につき、児童に関する家庭その他からの相談のうち、
 専門的な知識及び技術を必要とするものに応じ、必要な助言を行うと共に、
 市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行うほか、
 第26条第1項第2号及び第27条第1項第2号の規定による指導を行い、
 あわせて児童相談所、児童福祉施設との連絡調整その他厚生労働省令の定める
 援助を総合的に行うことを目的とする施設とする。」

 

  「児童家庭支援センターの職員は、その職務を遂行するに当たっては、
 個人の身上に関する秘密を守らなければならない。

 

  尚、児童家庭支援センターは、児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、
 情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設に設置されます。

 

  そして、児童相談所と連携をとりながら相談指導にあたり、
 地域の社会資源との連絡調整を行います。